アスベストQ&A
アスベストとは
アスベストとは石綿(せきめん、いしわた)とも呼ばれ、繊維状になった鉱物です。
防火、防音、断熱等の用途で様々なもので使用されていました。
防火、防音、断熱等の用途で様々なもので使用されていました。
主な使用箇所
- 建築物
- 絶縁材
- 自動車や鉄道の吹付、ブレーキパッド、クラッチ板
- 屋根瓦、屋根用波板、石膏板、天井用化粧板
- ガスケット、水道用パッキン、シーリング材、パッキング
- 加熱炉、船舶、鉄道車両等
どのようなアスベストがあるのか
日本国内ではクリソタイル、クロシドライト、アモサイトの3種類が使われていると言われていましたが、その後他の3種類の使用も見つかっております。
- クリソタイル(温石綿、白石綿)
日本で最もよく使われていたアスベスト。世界でも9割がクリソタイルといわれています - クロシドライト(青石綿)
アスベストの中で最も毒性が高い - アモサイト(茶石綿)
角閃石綿の一種 - アンソフィライト(直閃石綿)
- トレモライト(透角閃石綿)
- アクチノライト(陽起石綿)
アスベストがどうして危険なのか
アスベスト(石綿)の繊維は肺繊維症(じん肺)や悪性中皮腫の原因になるといわれ、肺がんを起こす可能性があります。
アスベストによる関連病、アスベストを吸引してから長期の潜伏期間の後で発症することが多いとされています。
アスベストによる関連病、アスベストを吸引してから長期の潜伏期間の後で発症することが多いとされています。
主なアスベストによる病気
- 石綿肺 潜伏期間15~20年
- 肺ガン 潜伏期間15~40年
- 悪性中脾腫 潜伏期間20~50年
国が定めるアスベスト含有建材とは
石綿(アクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト、トレモライト)を重量に対して0.1%を超えて含有する建材をアスベスト含有建材といいます。
アスベスト分析においては、重量に対して0.1%を超える石綿繊維が見つかったかどうかで、含有製品かどうかを判断しています。
アスベスト分析においては、重量に対して0.1%を超える石綿繊維が見つかったかどうかで、含有製品かどうかを判断しています。
ロックウールも危険なのか
ロックウールは岩綿とも呼ばれ、玄武岩等から精製される鉱物繊維です。
アスベストとは異なるものであり、アスベストと比べて酸にに弱く人体に入ると溶けるといわれております。
アスベストのようにじん肺になったという報告はありません。
アスベストとは異なるものであり、アスベストと比べて酸にに弱く人体に入ると溶けるといわれております。
アスベストのようにじん肺になったという報告はありません。
バーミキュライトも危険なのか
バーミキュライト(ひる石、蛭石)を使った吹付バーミキュライトには、不純物としてアスベストを含有するケースと、吹付材の剥落防止するためにアスベストが添加されているケースがあります。
そのため、アスベストを含有している場合は、粉じん等の発生により健康被害をもたらす恐れがあります。
そのため、アスベストを含有している場合は、粉じん等の発生により健康被害をもたらす恐れがあります。
アスベスト含有建材にはどのような種類があるか
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アスベスト含有吹付材
吹付工法により施工された材料であり、アスベストを含む乾いた材料と水分を混合したものを、鉄骨や壁、柱、その他に吹き付けることで付着させます。
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アスベスト含有成形板
アスベストと他の材料を混和して、板等の形に仕上げたものです。かたい材料として製作されるため、軽微な接触で損傷したり、経年劣化は比較的しにくいものになっています。
しかし形成版が砕けると粉じんを発生します。
アスベスト含有成形板は現在も使われているか
現在日本国内においては、製造・輸入・新規の使用は禁止となっています。
労働安全衛生法の施行によって、アスベスト含有建材は2006年から製造や使用が禁止となりました。
労働安全衛生法の施行によって、アスベスト含有建材は2006年から製造や使用が禁止となりました。
アスベストの区分とは
アスベスト含有建材は発じんの度合いにより、レベル1~3に分類されています。
レベル1が最も飛散性の高い建材として、アスベスト含有吹付材が分類されています。
レベル1が最も飛散性の高い建材として、アスベスト含有吹付材が分類されています。
アスベストの分類
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レベル1
吹付アスベスト、アスベストを含有する吹付ロックウール
飛散性アスベスト
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レベル2
アスベストを含有する耐火被覆材、保温材、断熱材
飛散性アスベスト
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レベル3
レベル1,2に含まれないその他のアスベスト含有建材。形成版等
非飛散性アスベスト
アスベストに関する法的規制とは
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建築基準法
吹付アスベスト等の使用禁止と、建築物の増改築、大規模修繕、模様替の際にアスベスト含有建材の除去を義務付け。
(ただし、既存部分については封じ込め及び囲い込みの措置を許容)
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建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)
建設資材に付着している吹付アスベスト等の含有に関する調査の義務。
付着アスベストの除去を規定。
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労働暗線衛生法(石綿傷害予防規則(石綿則)を含む)
アスベストを含有(0.1%を超える)する製品の製造、輸入、使用の禁止。
建築物解体等において、アスベストの曝露防止措置等の規定。
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大気汚染防止法
事業活動や建築物等の解体等にともなう大気汚染の防止のため、建築物解体等の作業の届出や建築物解体等の作業基準(吹付アスベスト、アスベスト含有保温材の除去等)を規定。
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廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)
廃アスベストを含む廃棄物の特別な管理等を規定。
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宅地建物取引業法
建物にアスベスト使用の有無に関する調査結果が記録されている時は、その内容を重要事項説明として建物の購入者等に説明することを規定。
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住宅の品質確保の促進等に関する法律
住宅性能表示制度において、個別性能に係る表示事項としてアスベスト含有建材の有無等を規定。
アスベスト定性分析・定量分析とは
アスベスト含有の判定方法には以下のような種類があります。
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偏光顕微鏡法による定性分析
JIS A 1481-1に基づいて偏光顕微鏡を用いて石綿繊維の有無を確認する方法です。
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X線回析分析法による定性分析
JIS A 1481-2による、X線回析装置を用いてアスベストおよび共有成分の確認を行う方法です。
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位相差分散顕微鏡法による定性分析
JIS A 1481-2による、位相差分散顕微鏡を用いてアスベストの含有を確認する方法です。
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X線回析分析法による定量分析
JIS A 1481-3による、X線回析装置を用いてアスベスト含有率を計測する方法です。
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偏光顕微鏡法による定量分析
JIS A 1481-4による、偏光顕微鏡を用いてアスベスト含有率を求める方法です。
分析しないとアスベスト含有は確認できないのか
建築物の設計図書に、製造メーカーが公表している対象製品リスト(製品名、製造年月日等が記載されている)によりアスベスト使用実績ありと分かる場合は、アスベスト分析を行わなくても含有建材とすることができます。
また、建設した年代からアスベスト含有の可能性が高い場合も含有とみなして処理することができます。
年代や製品名等からアスベスト含有が判定できない場合は、実際に使用している建材から検体を採取して分析を行う必要があります。
また、建設した年代からアスベスト含有の可能性が高い場合も含有とみなして処理することができます。
年代や製品名等からアスベスト含有が判定できない場合は、実際に使用している建材から検体を採取して分析を行う必要があります。
アスベスト含有建材はどのように処理されるのか
アスベスト含有建材は飛散性、非飛散性といった区分により処理規程が定められています。
また処理の確認として、マニフェスト交付が義務付けられています。
また処理の確認として、マニフェスト交付が義務付けられています。
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飛散性を有しているアスベスト
特別管理産業廃棄物「廃石綿等」として処理します。
特別管理産業廃棄物の処理は通常の廃棄物よりも厳しい規則があり、処理を行う事業者は特別管理産業廃棄物処理基準に従って自ら処理を行うか、特別管理産業廃棄物の許可業者に運搬・処分を委託しなければなりません。
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非飛散性のアスベスト(重量で0.1%を超える石綿含有)
産業廃棄物の「石綿含有廃棄物」として無害化処理し、最終処分場で処理されます。
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非飛散性のアスベスト(重量で0.1%以下の石綿含有)
産業廃棄物として処理します。
アスベストの使用例(建材の場合)
現在はアスベストの使用が禁止されているので新製品に含有製品は使われておりませんが、以前はこのような場所でアスベスト含有建材が使用されていました。
- 鉄骨の耐火被覆材、機械室等の吸音・断熱材、屋根裏側や内壁等の結露防止剤として吹付材を使用
- 鉄骨の柱、梁等の耐火被覆成形板
- 天井等の吸音・断熱材および煙突の断熱目的として断熱材を使用
- 天井・壁・床の下地、化粧用内装材、天井板、外装材、屋根材等の形成板
アスベストの使用例(家庭用品の場合)
現在はアスベストの使用が禁止されているので新製品に含有製品は使われておりませんが、以前はこのような場所でアスベスト含有製品が使われていました。
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電気製品
トースター、オーブントースター、オーブンレンジ、電気コンロ、電気ポット、クッキングカッター、 ジューサー、ミキサー、電磁調理器、冷蔵庫、ミシン用フットコントローラ、 洗濯機、アイロン、掃除機、エアコン、こたつ、電気ストーブ、照明器具、スタンド、 ヘアドライヤー、電気温水器、換気扇 等 -
ガス・石油製品
ファンヒーター、ストーブ、ボイラー、温水機器、湯沸かし器、ガスオーブン、ガスコンロ 等 -
その他
自転車、金庫、釣り用リール 等